- REALE Ground
レアーレグラウンド もうひとつの話〜レアーレのお母さん〜
レアーレワールドの設立は2015年。
でも、それより10年以上も前にレアーレワールドは活動をスタートしました。
そのときからずっと応援し、支えてくれたレアーレの母ともいうべき女性がいます。
その名はめいちゃん(伊藤明子さん)。
めいちゃんは子どもたちを献身的にサポートしてくれました。
ケガした子がいれば包帯や絆創膏を送ってくれたり、熱中症になった子がいれば熱中症予防グッズを買ってくれたり。
いつも満面の笑みで「楽しい!!」と言いながら、レアーレの理念、そして活動を心から信じて応援してくれていました。
グラウンドを作りたいと話したとき、いつも以上に大きな笑顔で、「絶対に必要だから、何が何でも応援する!」と言ってくれました。
普段の苦労を知っているめいちゃんだからこその本気の言葉でした。
めいちゃんに癌が再発したことがわかったのは、その直後でした。
でも、めいちゃんは笑顔を絶やしませんでした。
「絶対に治して応援しなくっちゃ!」と口癖のように言いながら。
再発した癌はめいちゃんの想いとは裏腹にどんどん大きくなり、痛みを増していきました。
やがて、めいちゃんは動けなくなって入院することになりました。
「絶対に治るから、早く治して応援しなくっちゃ!」
苦しいはずなのに、めいちゃんは気丈に笑顔を見せようとしてくれました。
めいちゃんの病状はみるみる悪化していきました。
でもお見舞いに行くと、しゃべるのすら苦しいはずなのに言ってくれたのです。
「早く退院してグラウンドを作らなくちゃ!」って。
そんなめいちゃんの想いを無視するかのように、さらに癌は進行していきました。
めいちゃんの脚とお腹はパンパンに浮腫み、身体はガリガリに痩せてしまいました。
めいちゃんは感じたのかもしれません。
自分の命が長くはないと。
レアーレを応援し続けてきてくれためいちゃんは、どうしてもグラウンドを実現したいと、ご主人に遺産を寄付する希望を伝えたそうです。
そのことを私が知ったのは、めいちゃんの意識がなくなるほんの数日前でした。
書類の準備ができたという報告と、もうダメかもしれないという知らせがほぼ同時に届きました。
急いで病院へ向かうと、めいちゃんの意識はすでにありませんでした。
前日にめいちゃんが書いたという直筆の書類に私が印鑑を押し、書類が完成しました。
「めい、約束は守ったからね。書類はできたからね」とご主人が伝えると、
意識がなかったはずなのに、めいちゃんは、カッ! と目を見開き、「うん!」と力強くうなずいて再び目を閉じました。
その夜、めいちゃんは息を引き取りました。
私はめいちゃんのおかげでグラウンドを完成させる覚悟ができました。
だから、めいちゃんがくれた想いだけで十分でした。
めいちゃんは、たくさんのことをしてくれました。
私たちはすでに大きなものをもらっているのです。
感謝でいっぱいでした。
お葬式が終わり、しばらく経ったころ、めいちゃんのご主人から「遺産なので寄付するまでに手続きがとても複雑で時間がかかります」という連絡がありました。
めいちゃんがレアーレワールドのために寄付を申し出てくれた額は1千万円。
大きな大きなお金です。
めいちゃんにはふたりの息子さんとお孫さんがいます。
それなのに、遺産を寄付しようとご主人が動いてくださっていたと知り、私はびっくりしました。
「めいと交わした約束ですから」とご主人はおっしゃいました。
そのお気持ちをいただいただけでも、私は強くなれると思いました。
それから月日は流れていきました。
ある日、再びめいちゃんのご主人から連絡がありました。
「準備が整いましたので、明日、銀行から振り込みます。遅くなってしまって、めいに叱られてしまう」というご主人の言葉に、私は何も返すことができませんでした。
ただ、涙がとめどなく溢れてきました。
自分の全てを投げ打ってでも、何が何でもグラウンドを作り上げなければいけないと強く思いました。
そして、必ず実現することを心に決めました。
私たちの未来は、私たちが動かなければ創ることができません。
でも、私ひとりで創ることはできません。
たくさんの人の力が必要です。
そのひとりひとりが想いを持って、未来を担う子どもと彼らの希望のために行動すれば、未来を創っていくことができます。
めいちゃんは「希望」という大きな大きなバトンをご主人に託しました。
ご主人は大きな愛情から、そのバトンをレアーレワールドに手渡してくださいました。
私たちは、そのバトンを未来のために繋ぎたい。
そのために、たくさんの人の力を借りたいのです。
目標は10,000人。
10,000人のみなさんとともに未来を創っていきたいのです。
ここにめいちゃんのご主人がくださったお手紙があります。
めいちゃんから渡されたバトンを未来を担う子どもたちに繋ぐために、一緒に走りませんか。
代表理事 三好 彩